大切な家族のお葬式で嫌な思いをしたり、「ぼったくられた!」と嘆くよりは生前からお葬式やお墓、仏壇仏具の用意をしておきたいものです。とはいえ逝去前からお墓や仏壇を用意するのは縁起が悪いし、高価な買い物だから慎重になりたいと考える人は多いでしょう。
しかしご安心ください。
実は生前からお墓を建てたり、仏壇仏具の購入をすることはとてもお得なんです。
ここでは家族の逝去前後にできる節税対策と、お葬式の費用を安く抑える方法をご紹介します。

あの時、生前に葬儀社を決めておけば……
・ぼったくり業者に遭遇しないために、生前に葬儀社を選ぶ
・病院や施設と提携している葬儀社は料金が高いことが多い
・慌てて契約してしまうと、見積書が不明瞭だったりトラブルの元になる
「最近は病院で亡くなる方が多いから、あらかじめ病院と提携している葬儀社が営業に来るんですよ。でも実際に頼んだらほとんどぼったくりに近い感じでしたね。正直な話、うちに来た葬儀社と業者はひどかった」
これはよく聞かれる葬儀社へのクレームです。
近年では少人数・低価格で故人を見送ることのできる家族葬も増え、かつては全国平均で200万円と言われていた葬儀費用も、少し安く抑えられるようになりました。
しかし単純に価格の安さで業者を選んでは、「ぼったくりに近い」と言われる業者に当たってしまいます。
特に生前に葬儀社を決めていなかったり、仏壇仏具やお墓の用意がない家庭には、様々な業者が営業に来ることもあるでしょう。
そうなると故人をゆっくり見送るどころか、適切なサービスを比較・検討できないまま契約してしまうことになります。
実際に、病院と提携している葬儀社は他の所より費用が割高なのに、プラン内容は簡素だったというケースもよく見られます。
葬儀費用が「経費」で落ちるって本当?
・本葬儀にかかった費用のみ相続税の控除対象になるが、葬儀費用の上限はない
「葬儀費用が節税対策になる」と聞いた気がする、という方は多いでしょう。
実際に相続税は、経費などを差し引いて計算するため状況によっては安くなることがあります。
相続税は故人の遺産を相続した際に発生する税金ですが、これは相続した財産から相続税の基礎控除額を差し引いて計算されます。
さらに経費などがあれば控除対象になるのですが、実は葬儀費用も経費として認められています。そこで相続財産から葬儀費用を控除できるというわけです。
ただし相続税の控除対象になるのは、あくまで葬儀にかかった費用です。
葬儀プラン・食事代など参列者の接待費・葬儀の引き出物・僧侶へのお布施・火葬料・儀式に必要な道具などにかかる費用が対象になります。
「一日葬」などと呼ばれる葬儀のうち、初七日法要など本葬儀以外の費用は認められないので注意しましょう。
生前に葬儀社を選ぶことのメリット

・葬儀費用の心配なく故人に合ったプランを選べる
・故人を交えた、親族間との情報共有ができる
・事前に税理士などに相談することで、よりお得な節税対策ができる
・相続財産の多い家庭・少ない家庭どちらも納得いく葬儀社を選べる
「うちには節税対策するほど財産がない」という家庭にも、生前に葬儀社を選ぶメリットはあります。
葬儀費用の控除は基礎控除額が相続税より多いか少ないかで、お得になるかどうかが決まります。
控除額が大きければ、その分にお金をかけられます。
また相続税の控除対象になる葬儀費用は、事実上は上限がないと言われています。
お葬式は安く済ませたい方もたくさんいますが、仏具やお供えも全部最高級品で揃えて、故人のために「贅沢極まりない」と参列者に言われるほどの葬儀を行ったケースがあります。
もちろん葬儀社の支払いやお布施も高額になり、担当税理士すら「これが税務署で通るのか」と戦々恐々とした葬儀だったとのこと。
しかし実際にはきちんと控除されていたようです。
食事や仏具に至るまで贅を尽くした葬儀の費用が、なんと全額控除になりました。
葬儀費用が控除対象になるとはいえ、控除額や対象を決めるのは税務署です。
税務署の煩雑な手続や知識を仕入れておくためにも、また後から「こんな葬儀なんて聞いていなかった」などと葬儀や相続で親族ともめることにならないよう、生前に税理士や葬儀社と相談しておくことは良いことです。
相続できる遺産がない家庭には
・家族葬や一日葬という方法もあるが、控除額が安いか控除されない場合がある
葬儀にお金をかけて相続税を節約するか、葬儀を安く抑えるかわりに相続税を多少多く払うか、どちらを選ぶかは相続財産の額と希望する葬儀によって異なります。
相続できるような遺産がないという人には、価格を安く抑えられる家族葬なども今は増えています。
最近は税理士や弁護士と提携している葬儀社もあるので、いくつかパンフレットなどを請求して比較してみるのもいいでしょう。
生前にお墓を建てることのメリット・デメリット

・お墓を建てることが「生前贈与」にあたり、節税対策になる
・古くから縁起が良いこととされており、生前にお墓を建てると長生きする説がある
・墓地・墓石・仏壇仏具・礼拝に用いるものは非課税と法律で決まっている
・生前に自分の好きなデザインのお墓を建てられる
・親族や遺族間での情報共有ができるので、死後の管理も安心
・デメリット面は、生前にローンを組んでしまうと非課税の対象にならないこと
(相続税の控除は、死後に借金がないことを条件としているため)
生前に墓地墓石や仏壇仏具、神棚を購入することで相続税の節税対策になる!こう聞くと、どのくらいお得な話なのか気になります。
また中国では寿陵といって、生前にお墓を建てるのは縁起がいいと信じられていました。
しかもこの寿陵、日本でも縁起がいいどころか税金対策でもお得です。
中国と同様、日本でも仏教が伝来した頃から、輪廻転生を意識し生前にお墓を建てるとかえって長生きするという説があるそうです。
さらに現代では生前にお墓を建てたり、仏壇仏具や神棚などにかかるお金には相続税が課税されないと、法律で決められています。
相続税法第12条によると、墓地や墓石、仏壇仏具、日常的に礼拝している神棚や神具など宗教的な目的で用いるものは相続税が課税されない、ただし骨とう的価値があるもの・投資の対象になるもの・商品として所有するものには相続税が課税されるとあります。
また墓石自体に相続税が課税されないだけでなく、生前贈与と同等の効果があるのもメリットです。
つまり生前に相続財産を減少させることで相続税そのものを減額できる。
さらに自分が入るお墓を好みに応じて建立できるうえ、墓の管理者になる家族・親族と一緒に墓石を選定すれば情報の共有ができます。
そうすることで相続やお墓の管理をめぐるトラブルが少なく済むでしょう。
ただし生前にローンを組んでお墓を建てた場合、相続性の非課税対象にはなりません。
あくまで逝去した時に借金がないことが非課税の条件のためです。
また公営墓地だと生前にお墓が建てられないことがあるので確認しておきましょう。
仏壇仏具をお得に購入するには

・骨とう的価値のあるもの(純金の仏像など)を購入しない
・一般家庭の仏壇仏具なら問題になるケースは少ない
・非課税にするためには、生前に購入すること
生前にお墓や仏壇仏具などを購入する際の注意点があります。
それは購入した仏壇仏具などに骨とう的価値がある場合、控除の対象にならないことがあります。
以下は仏壇や仏具が課税対象になってしまうケースです。
課税対象になるおそれのあるもの
金箔を貼った仏壇や純金製の仏具、非常に高価な物を購入した場合や、高価な木材を使った仏壇、職人の手造り品、高名な芸術家や彫刻家の作る仏具・神具など
もちろん墓石も例外ではありません。海外から輸入した高級な石を使えばそれだけ価値は高騰します。
この価値を判断するのは税務署となりますが、購入する前に判断に迷ったら税理士に相談することをお勧めします。
節税対策をはじめ、相続に関する遺族や親族とのトラブル対応にも的確なアドバイスを受けられるでしょう。
仏壇仏具が非課税になるのはいくらから?

・相続人の人数、相続財産の総額、仏壇仏具の値段で異なるので一概には言えない
・ただし仏壇仏具店にはセールがあるので、タイミングを見て生前に購入した方がお得!
月刊「仏事」を発刊する鎌倉新書が2017年に行ったアンケートによると、仏壇の平均購入金額は約34万円という結果が出ています。
この結果から見ると、一般的に仏具店で購入できる家庭用の仏壇は5万円~100万円程度が多いでしょう。
ただし相続財産が少なかったり、法定相続人が何人もいる、購入した仏壇仏具の値段によっては相続税を払ったほうがお得になるケースがあります。
詳しくは税理士に相談してみることをお勧めします。
とはいえハッキリと言えることは、生前に仏壇仏具を購入した方がお得です。
相続財産や控除金額にかかわらず好きなものを選べたりセール時に購入できるので、結果として「いい買い物をした」と感じることでしょう。
まとめ・もっと節税対策するために
これまで葬儀費用が経費で安くなる可能性があること、生前にお墓や仏壇仏具を購入することで生前贈与の役割を果たし、結果として相続税が安くなり仏壇も非課税なのでお得に購入できることをお伝えしました。
仏壇仏具が本当にお得になるのか、その問題をクリアできれば、心にも形にも残る悔いのない供養ができるでしょう。
そのために税理士と提携している葬儀社もあります。
メールでの無料相談を設けている所もあるので、まずは気軽に相談してみましょう。
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